
全資産を株式に投資せよ
標準的な理論では、資産を株式と債券に分配するのが基本になっています。
それに基づいて
若いときは株式を中心に投資して、リタイアの時が来たら安全な債権にシフトする
というファンドまで売られていたりもします。
果たしてこれは絶対的な法則なのでしょうか?
株式投資と債券投資のバランスの話と端的に受け取っていいのでしょうか。
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人的資本を計算する
経済学では一人一人の労働価値を
「人的資本(:ヒューマンキャピタル)」
と考えます。
働いて給与を得るということは、この人的資本を労働市場に投資して、収益を得ていることになります。
自分自身の人的資本の価値は、年収を長期金利で割り引くことで計算できます。
たとえば年収500万円の人であれば、長期金利2%で割り引いて、人的資本は2億5000万円です。
2億5000万円を定期預金しておくと、毎年500万円の利息が受け取れるということです。
しかしサラリーマンは、会社の倒産や、リストラのリスク、そして65歳の定年退職があるため、計算するときにはリスクプレミアムを加えた割引率を8%として計算してみます。
生涯年収3億円(年収:入社時250万円、退職時1300万円、退職金3000万円)の標準的なモデルで考えてみます。
入社直後の人的資本は1億4000万円。
この資本は年齢とともに減価していきますが、それでも40歳で1億3000万円、50歳で1億2000万円、60歳でも8000万円以上あります。
個人差はありますが、しかし多くのサラリーマンの方はご自身が思っている以上の人的資本をもっていることになります。
これは世界で最も恵まれている国のひとつに生まれたという幸運がもたらすものです。
安定した収入が見込めるという大きな前提が底支えしてくれているとも考えられます。
ここで考えられる法則です。
金融資産に比べて人的資本が圧倒的に大きい場合は、全資産を株式に投資する
これは暴論と思うかもしれませんが、資産運用の専門家の中にも同じ立場をとる人は多くいます。
経済学者ジェレミー・シーゲルは1802年から2世紀にわたる株式と債券の利回りを分析し、株式投資の累積リターンが債券投資を大きく上回ることを実証した。1929年の世界恐慌直前に株式投資を始めても、毎月定額の投資を続けていればわずか4年で短期国債の投資利回りに並び、30年後の利回りは年率13%となって債券投資を圧倒した。インフレ率を調整した後の実質利回りは株式が年率7%前後で安定しているのに対し、第二次大戦以降の債券投資の実質利回りは、ほぼゼロにまで落ち込んでいる。
さあいよいよ投資が出来そうです。