
海外投資のリスクとリターン
金融資産の全てをレバレッジをかけて世界株ポートフォリオに投資するという、世間的には狂気の沙汰と思われるに違いないこの投資法で、どの程度のリスクが生じるのでしょうか。
海外投資には為替リスクがつきものですが、経済学的に正しい投資法ではこのリスクも分散できます。
4通貨スキャルピング&1通貨スイングトレード完全自動売買FX完全攻略マニュアルPDF版
世界株ポートフォリオ
世界株ポートフォリオとは世界の主要通貨を株式市場の時価総額に応じて保有していくことになります。
これは米ドル・ユーロ・ポンド・円、などのバスケット通貨のことです。
ドル安が進んでも、ポートフォリオに占める米ドル資産は全体の50%以下で、その損失は円やユーロなどの他通貨の上昇で相殺されます。
逆に円安が進めば、ポートフォリオの80〜90%が外国通貨ですので、円建てでの利益は拡大します。
米ドルであれ日本円であれ、たったひとつの通貨のみを保有するのは、その通貨の為替水準が切り上がるというギャンブルをしているのと同じことなのです。
投資パフォーマンスに関しては、過去の実績から世界株ポートフォリオの平均リターンを8%、リスクを20%とすると、この投資から1年間で12%以上の損失をこうむる可能性は約16%(6回に1回)、32%以上の損失可能性は2.5%になります。
300万円の投資で1年後に96万円(300万円×32%)以上の損失が生じる確率は40年に1度。
たまたま運悪くこうした事態に遭遇しても、100万円の損失はあなたの純資産(人的資本=2億円)の0.5%なのです。
レバレッジをかける
では次にレバレッジをかけて海外株式に投資した場合はどうでしょうか。
この場合はリスク許容度から投資可能額を逆算した方が分かりやすいと思います。
ここでは保守的に見積もって、純資産の10%をリスク許容度とします。
人的資本を加えたあなたの資産は2億500万円ですので、その10%である2050万円までは損をしても、きれいさっぱり諦めてください。
ここで
「500万円しか貯金のないサラリーマンが2050万円も損をしたら破産してしまう!」
といった声が聞こえてきそうですね。
しかしファイナンスさえしっかりしていれば、そんなことにはなりません。
バブルの頂点を挟む80年代半ばから90年代半ばにかけてマイホームを購入した人たちが、その事実を証明しています。
バブルの頂点から10年で住宅地の価格は3分の1になりました。
マイホームの購入価格が3000万円とすると、ほとんどの購入者が1000万円以上の損失を被ったわけです。
しかし自己破産まで追い込まれたのはごく一部で、ほとんどは家計をやりくりして、住宅ローンの返済を続けました。
株式投資で金融資産を超える損失が生じたとしても、話は同じです。
人的資本が生み出すキャッシュフロー(給料)の範囲内で借金を返済し、株価の回復をまつことができます。
それでは仮に2050万円まで損失を許容出来るとして、どの程度まで投資できるものなのでしょうか。
32%以上損する2.5%のリスクに目をつぶるなら、投資可能額は約6000万円になります。
すなわち500万円の金融資産に12倍のレバレッジをかけるのです。
統計的にはこのポートフォリオから10年間の累積で10%以上の損失が生じる確率は約3%です。
6000万円を世界株ポートフォリオに10年間投資したとして、100回に3回の割合で元金の全てを失うことになります。
もちろん将来のことは完全には分かりません。
これをチャンスと見るか、リスクと考えるかは、もちろんあなた次第です。